廃車のハイエースがエチオピアで300万円に化けるまで

300万円!!

先日、青年海外協力隊時代に知り合った仲間(日本人)と久しぶりに連絡がありました。ちなみに彼はアフリカを転々としていて、現在はエチオピアにいるという友人です。

友人
山本くんって、中古車の輸出やってるんだよね?
やってますよ!
 

友人
実は今エチオピアにいてさ~、レンタカー事業をやろうと思って、ハイエースこっちで一台買ったんだよね。で、もう一台追加しようとおもってるんだけど、こっち(エチオピア)で買うとなんせ滅茶苦茶高いんだよね~。だから山本くんに一台輸出してもらえないかな~と思ってさ~
エチオピアは左ハンドル限定の輸入規制があるんですよ。だから日本から直接輸出するのは結構難しいんですよ。
ちなみにどんなハイエースを、いくらで買ったんですか??
 

友人
日本だったら廃車にするようなボッロボロのハイエースだけど、300万円もしたんだよ。
さっさんびゃくまん!?っすか?ボロボロってどの程度?
友人
年式は2007年だけど、走行距離は30万km超えてるね。左ハンドルのマニュアル車で、こっちの車屋さんは「ドバイから輸入した」って言ってたよ。もともとは日本から来たみたいだけどね。
そうなんですよ、左ハンドルの輸入規制のある国には、日本からドバイに輸出されて、そこでハンドルを右から左に変えて、その国に再輸出されるんですよ。
それにしても30万キロ走った車が300万円とは・・・現地でそんな高い値段まで吊り上がっているとは・・・

 ちなみに友人が希望する車の条件はこんな感じ・・・

  • 年式は2007年前後
  • 走行距離は問わない(40万キロでも50万キロでもOK)
  • マニュアル(オートマは不可)
  • ディーゼル
  • ハイルーフ
  • 日本で使用されていたもの
  • 左ハンドルに変換したもの 

 早速日本から直接輸出したらどれくらいかかるのかシュミレーションしました。

 まず、友人が希望するようなハイエースをオークションで仕入れ、左ハンドル工事をした時点で、原価ですでに110万円を超えてしまいました。やっぱハイエースはたけ~、しかもハンドル工事費用もたけ~ (ハイエースの弊社における買取価格はこちらで確認できます)

 その後、船会社に連絡をとり船賃をしらべたり、ハンドルを右から左に変えてくれる業者に問いあわせをしたりしてみた結果・・・

 船会社からの返答は・・・

ハイエースのハイルーフだと40フィート(長めのコンテナ)でも2台しか積めない。そして、コンテナ一本の輸送料がエチオピアの最寄り港であるヂプチまでで、5000ドル。

 一台あたりに直すと、2500ドル≒30万円程度 この時点でトータル140万円か・・・雲行き怪しくなってきた。

 

 そして、輸出の恐ろしいところは、ここからさらに関税がかかってしまうんです。この友人の話では、エチオピアの中古車の輸入関税はちょうど100%という事なので、これまでの経費にうちの利益を足した金額が2倍されることになります。

 もし、うちが10万円でも利益をつけるとその時点で (140万円+10万円)×2=300万円 となります。

しかも、細かいことを言えば、ヂプチでの、通関代行業者や、ヂプチからエチオピアの輸送費などは含まれていません。

 たしかに、これじゃ~だれも日本から輸出しないわけだ。チッキショー

 

さて本題はそこじゃない!そんなに高いのになぜ日本車??なぜハイエース??

 そもそも、エチオピアってそんな金持ちの国なの?

300万円で売られててだれか買う人いるん??

でも日本から持って行ったハイエース(走行30万kmオーバー)は、ドバイ経由でも、日本から直接輸出しても、やっぱり300万円はしてしまう。

 それでも、現地でその値段で買う人がいるから、実際に車が海を渡って、運ばれているんですよね。

僕も、輸出をやっていると、エチオピアからの問い合わせは実際、過去にも何件かありました。

 彼らは口を揃えて

日本で使われていた、日本車が必要なんだ!

 と訴えていました。

なぜ日本車にこだわるのか?

 あなたは、外車に長く乗ったことはありますか?

外車ならベンツでもBMWでもワーゲンでもなんでもいいです。

恐らく、10万km走行するまでに、「それほど修理費がかからなかった」という外車はまずなかったはずです。

 たまに、日本国内のお客さんから、「中古の外車を探してほしい」と頼まれ、中古車オークションのデータを見る機会があります。

 しかし、5万キロを超えた外車のほとんどは、何かしらのトラブルを抱えており、再販する前に大きな修理を要することがほとんどです。

 中古車業者さんの集まりでも

「外車は怖いから、最低50万円ぐらいは利益がないと売りたくない」

と皆口を揃えていいます。お客さんに売ったとたん、とんでもないトラブルが発生して、保証などで何十万円もかけて直さないといけないハメになることも日常茶飯事だからです。

 日本人が車を乗り替えるタイミングは異常に早いです。新車から10万kmはしれば、もう廃車扱い。

だから、走行5万km以上の外車が、故障しても「たまたま俺の運が悪いだけかな?」程度にしか考えません。

 でも、30万kmも50万kmも車を修理しながら本当につぶれるまで乗りつぶす海外の人にとっては、壊れやすい車か壊れにくい車の違いは一目瞭然です。

 だから、彼らは日本車にこだわるんでしょうね。

そして、その日本車の中でも、ハイエースのバンはケタ違いの人気っぷりです。

 彼らの中には「ハイエースなら100万kmは走ってくれる」という確固たる信頼がある。

だから、たとえ30万kmをすでに走行しているハイエースでも、「あと70km走るから、まだまだ新車に近い状態」というプラス思考ができる。ってことでしょうね。

 エチオピアでレンタカー事業を始めようとしている友人の話によれば、エチオピアではどんなに古いハイエースでも、一日あたり 100ドル=1万2000円 で貸し出されているそうです。

 しかも、稼働率は100%に近く、1年あれば、300万円の元手もほとんど、取り戻せるという事なのです。

となれば、1年中目いっぱい走っても、めったに壊れない車。

 というわけで、その友人は現地の車屋さんにハイエースを薦められたそうです。

元々左ハンドルの日本車はダメなの?「ユーズドインジャパン」というブランド力

 例えば、アメリカでは、左ハンドル日本車がたくさん走っています。

アメリカのような国から、元々左ハンドルの車を輸入すれば、もっと安くなるんじゃないの?

 と思うかもしれません。ハンドル変換の工事が必要ないので、確かに経費はかなり抑えられます。

 

しかし、海外のバイヤーは「日本で使用されていた日本車」にこだわります。

 なぜなら、日本には世界で最も厳しいと言われている「車検制度」があるからです。

 

だから、同車種、同じ年式、同じ走行距離でも、日本で使用されているものと、海外で使用されたものでは、コンディションが比べものになりません。そのため、ハンドル工事の経費を差し引きしても、日本から来た車にこだわるのです。

 海外では「メイドインジャパン」もさることながら、「ユーズドインジャパン」も強いブランドなのです。

 

ひと昔まえの話しですが、車の貿易業界の都市伝説では、

日本語のカンバンが消えていない車の方が、値段が高くなる

という話もあったほどです。(今はあってもなくても、同じです。できれば無い方がいいです。)

 日本語カンバンは「ユーズドインジャパン」の証明になるからですね。

 

おかしいのはむしろ日本人の感覚かもしれない・・・

 日本は言わずとしれた技術大国です。その代表選手が車でしょう。

僕が青年海外協力隊で派遣されていた、ドミニカ共和国では、結構な割合の人が、日本を中国の一部だと思っていました。

 日本人と言えば?と質問すると3割ぐらいの人は

「ジャッキーチェン!!」

 と元気よく答えていました。

 

そんな国でも、走っている車を見ると8割方が日本車

 しかも、ほとんどが地球の裏側の日本から船に乗って、運ばれてきた日本の中古車でした。

 

日本では、10年とか10万kmも走ったら、「廃車」と呼ばれたりします。

 次々に新車が開発され、モデルチェンジしていて、古い型の車に乗っていると「恥ずかしい」という感覚さえ持ってしまいます。

だから、海外の人からすれば、よだれが出るぐらい欲しい車が、スクラップにされたり、タダ同然で売られていたりするわけです。

 この異常な状況を一番よく理解しているのはやはり、海外の人々です。

あなたが、車を手放す際は、是非ともこの記事を思い出してほしいです。

 

 あなたが廃車と思っている車はもしかすると、まだまだ海外の人が必要としているかもしれません。

海外に強い車の一覧はこちらで確認できます。

 

 

おまけ。日本からベンツを輸入するドイツ人達

これも、やはり貿易のあるある話ですが、

 ベンツを仕入れて、海外販売用のウェブサイトに掲載すると、ドイツ人から問い合わせがよくきます。

 

「はっ??中古のベンツはドイツの車ですけど・・・・」と思いますが、

 彼らからすれば、日本で使用されたベンツはコンディションの割に、値段が安すぎるのです。

 

だから、船賃をかけて運んでも、いいものが安く買えるとあって、結構問い合わせが来たりします。

 

 海を渡って、はるばるドイツから来たベンツが、日本で使われて、また故郷にもどる。

なんとも滑稽な話ですが、これが現実なんですね。

 以上で本記事は終わりです。