ハイエースの査定の際にしてはいけないアピールと、査定士が注意深くみているポイントとは?

ハイエース買取
記事監修者:
古物商:大阪府公安委員会第622030193808号
JAAI認定中古自動車査定士 査定士番号:0061753379
株式会社Direct Stock Japan 代表取締役 山本剛

車を売却するときに、誰でも気になる事があります。

 それは、「査定額を少しでも上げるためには、車をどのように見せればいいか?」「どこをどうアピールすべきか?」

ではないでしょうか?

 

 しかし、これまでの記事にも再三書いていますが、ハイエースに限らず、どんな車を売却するにも、

あなたが、何かをアピールすればするほど、それ自体が査定士側に余計な情報を与えてしまう事になります。

 

 車の査定時に最も重要な事はポーカーフェイスを貫く事なのですが、一生に何度も経験する事ではないため、

これがなかなか出来ないものなのです。

 

 さて、本題のハイエースの売却についてですが、ハイエースの売却の場合、特にしてはいけない質問があります。

 

ハイエース売却の際にしてはいけない質問とは?

例えば弊社の場合、お客様から頻繁にいただく質問を挙げてみると、

 ①凹みや傷は、修理しておいた方がいいのか?

 ②タイヤはアルミタイヤに付け替えた方がいいのか?

 ③洗車はした方がいいのか?

 ④車検の残りが少ないが、車検を通してから売った方がいいのか?

パッと思いつくものを並べてみたが、

 

 ウチの場合は、

「どれも、わざわざお金をかけてやる必要はありません。かけたお金以上に査定額がアップすることはあり得ません。」

と答えています。

 

 誰しもが、車の価値を最大限釣り上げたいという気持ちがあるのは当然の事です。

しかし、こういった質問がでると、一般的な買取店では、

「この客は、車の買取に慣れていないな」

という印象を持つことは否めません。

 

 ましてや、ハイエースの売却の場合に、このような質問が出た場合、

多くの買取業者は

 「シメシメ・・・・」と心の中でつぶやくことになるでしょう?

 

何故なら、上のような質問をすることで、

「この客は、車の買取に慣れていない。しかも、”ハイエースが特別な車”である事をよくわかっていない」

と買取店の営業マンは簡単に判断できるからなのです。

 

 ハイエースがどう特別なのか??については、過去記事で嫌という程しつこく書いていますので、

ハイエースの買取・下取り・査定ならボロボロエースカウカウ」の記事をご一読ください。

 

 ところで、

なぜ買取店の営業マンは、

 お客さんが、上のような質問をすることで、

”ハイエースが特別である事を知らない客”

という判断をできるのでしょうか?

 

 その最大の理由は、日本で売却されたハイエースのほとんどが輸出されているから・・・という理由に他なりません。

 

ハイエースは、長年盗難車ランキングの第一位を独占し続けた、言わずとしれた、海外超絶人気車両です。

これは、車関係の仕事をしている業界の人なら、誰もが知る常識なのですが、

皮肉な事に、新車からハイエースに乗っている当の日本人には案外知られていないのが現状です。

 

 ハイエースが海外で爆発的な人気を誇る理由は、

  1. エンジンや足回りが強靭である事
  2. 小回りが利くのに、コンパクトで、操作性が抜群である事

この2点に尽きます。

 

 日本人にとっては、ハイエースと言えど、一つの車を15万kmも乗れば、

「もう中古車としては、誰も買わないだろう」

と思われがちです。

 

 しかし、ひとたび海外に輸出されると、15万kmなど、まだまだ新車に近いイメージなのです。

エンジンやトランスミッションなど、主要な機関がダメになるまで、

 50万km、場合によっては100万kmでも走り続けます。

 

この感覚のずれが、時に、驚くような買取金額を生み出す事もあります。

海外の人からすれば、

 寿命が50万km、100万kmのハイエースが、15万km程度で新車の半額以下で買える事は、とてもお買い得な話なのです。

 

 しかし、日本人にとっては15万kmも走れば、その車の役目は十分果たしたという印象が強く、

「まあ、廃車でもいいかな・・・」と思ってしまう事も無理はありません。

 

 要するに、日本と、海外では、車に対する価値観がまるで違うわけなんですよ。

そうすると、冒頭に書いたような質問をしてしまう事によって、査定士側は

 

 「このお客さんは、日本人の感覚で質問しているな。つまりハイエースが海外に輸出されることや、ボロボロでも高い金額で取引されることを知らない。シメシメ・・・」

 

となるわけなんですね。

 

 実際、ディーラーの下取りなどで、廃車として0円で引き取られたハイエースが、

業者のオークションで、輸出業者が値段を釣り上げ、50万円で取引されるなんていう事も、ざらにあります。

 

 買取業者は、そのような下取りの実態をもちろん承知ですので、

ハイエースを取り巻く状況を知らない客を見ると、「シメシメ」と思わずにはいられないわけですよ。

そりゃあそうですよね。

 

 ディーラーが「廃車なので0円です」と言ったハイエースに、例えば「5万円で買取ります」と言えばいいんです。

それをオークションに出品したら、輸出業者がアホみたいな値段まで釣り上げてくれるわけです。

 

  お客さんからは感謝されるし、がっぽり利益も出るわけです。

こんなオイシイ話はありませんよね。

 

 少なくともこれを読んだあなたは、冒頭のような質問は控えて

「ハイエースは海外に行くんだよね。」

と涼しい顔で、さらりと言っておきましょう。

 

 そうすることで、査定士側は、

 

「このお客さんは、すでにネットで色んな情報に触れているな。これは下手な金額を提示できないな。」

という印象を持たざるを得なくなるでしょう。

 

査定士側が最も注意深く見ているポイントとは?

ここまで読まれたあなたは、ハイエースを本来の価値で売却する方法のほとんどを知っている言っても過言ではありません。

 

 要するに、ハイエースを売却する際、査定士が最も注意深く見ているのは、車ではないのです

 

彼らが最も注意深く見ているのは、そうです。あなた自身なのです。

 

 これまでのまとめとして、査定士が見るポイントを挙げてみましょう。

  1. あなたがハイエースが特別な車である事を意識しているか?
  2. あなたは、すでにネット等で古いハイエースのほとんどが海外向けに輸出される車である事を知っているか?
  3. あなたは、ボロボロのハイエースでも驚くような金額で取引されている事をしっているか?

この3点に尽きると思って問題ありません。

 

そうすると、実際の交渉の場合、あなたは具体的にどのような交渉をすすめれていけばいいのか?

 難しそうですが、実は以外にシンプルです。

要するに、余計な質問は一切せず、聞かれた質問に、必要最低限で答えればいいと思います。

 

業者側にとっては、いくらあなたがハイエースの事を知っているからといって、

なるべく安い金額で買いたいという事には変わりないわけです。以下のような質問が予想できますので、赤字のように返答しましょう。

 

  1. 他店にはすでに行かれましたか?そうですね。(どこですか?と聞かれても「まあ、どの業者かは言えません。」程度で答える必要はありません)
  2. ご希望の金額はいくらぐらいですか?当然なるべく高くですね。御社がこの車に出せるベストな金額と言っておきましょうか(具体的な金額を答えてはいけません。これは鉄則です)
  3. 他店ですでに出ている見積もり額はいくらですか?

 

こういった質問は、何気ない会話の延長で出てくることもありますが、

これは、交渉の上で業者側がどうしても知りたい情報になります。

 しかし、よくよく考えてみてください。

そもそも、業者がやっているのは”車の査定”です。

 

 査定というのは、その車にいくらの価値があるのかを算出する事ですよね。

 

その車の価値を計るために、あなたが他店と相見積もりを取ることや、希望金額など何の関係があるのでしょうか??

 

 そういった質問をすること自体がナンセンスなのです。

「我々買取業者は、車じゃなくて、あなたを査定してますよ」

と言っているようなものです。

 

 そのため、上記のような質問が来たら、鼻で笑って、

私じゃなくて、車を査定してください。」と堂々と答えていいんですよ。

 

まとめ

ハイエースを査定に出す際に注意すべきポイントをまとめてみました。

  • 査定士は、車ではなくあなたを査定しているという点に注意する。
  • 相手に余計な質問をして、決定的な情報を与えてはいけない。
  • 特に値段に少しでもかかわる情報は絶対に与えてはいけない。
  • ハイエースの査定金額を他の車と同じように扱わない。

以上