ハイエースの海外輸出相場|どの国に幾らで輸出されるのか

ハイエース買取
記事監修者:
古物商:大阪府公安委員会第622030193808号
JAAI認定中古自動車査定士 査定士番号:0061753379
株式会社Direct Stock Japan 代表取締役 山本剛

えっ!この年式、この走行距離で、35万円!??

弊社でハイエースバンの概算の査定額を聞いたお客様のよくある反応です。

さて、この買取相場、何を根拠にこの値段が出てくるのでしょうか?

今日は、この査定金額の出し方について、全てを公開してしまいます。

ハイエースバンの買取相場は、海外での相場で決まる。

一口にハイエースバンの買取相場と言っても、色々なハイエースバンがあります。年式、走行距離、型式、グレード、トランスミッションにより、値段が左右されます。

買取相場はどのように形成されるのでしょうか?

年式、走行距離にもよりますが、15年または20万キロどちらかがオーバーしたハイエースバンの相場は、ほぼ海外相場により形成されると言っていいでしょう。

また、海外相場となると、いろんな国のいろんな事情が絡んでくるので、国内の中古車業者からすると、「なんでこの車がこの値段になるの??」という根拠がさっぱりわからなくなります。

今回は、弊社が最も得意とする、アフリカ市場に焦点を当てて、解説したいと思います。

国により偏ったハイエースバンの需要

ハイエースバンが型式やトランスミッション等により買取相場が異なる裏には、それぞれの国ごとの偏った需要が背景にあります。

それでは、それぞれの国の偏った需要を見てみましょう。

まずは、

ウガンダ

ウガンダの需要はほとんどがLHまたはKDH(いずれも燃料が軽油のモデル)でトランスミッションがマニュアルです。走行距離については、こだわりが無く、20万キロ越えのハイエースもそこそこ輸出されています。

ケニア

ケニアは元々製造8年未満という輸入規制があり、これを満たす条件のハイエースという事が第一の条件になります。つまり今年で言えば、2017年式以降の車しか輸入できないという規制になります。しかしながら、この条件を満たすハイエースであれば、特に型式その他の需要の偏りはなく、全般的に売れているのがケニアの特徴です。しかし、年式が新しくなると、その分国内のオークション相場が上がるため、結果的に、ケニアに輸出される車はほとんどが2017年式の車になります。

 ただし、これも注意が必要ですが、その年の10月の中旬以降になると、ケニアに輸出しても現地での登録が年内に間に合わなくなる可能性があるため、概ね10月中旬から11月以降はseven_years_ago]の翌年式の車が輸入対象になってくることになります。

コンゴ民主共和国

アフリカの内陸にある国です。全体の輸入台数は少ないものの、ハイエースバンの輸入台数はアフリカの中でも1位、2位を争います。

ウガンダとは対照的に、コンゴの需要はほぼ、RZHまたはTRHのガソリン車モデルが9割を占めます。また、半分がオートマ、半分がマニュアルに別れます。

さらに、コンゴの場合、走行距離が10万キロ以上の車は台数が一気に減ります。20万キロを超えるものはほとんど売れません。

ザンビア

ザンビアはアフリカの中でも最も輸入台数が多く勢いのある国でしたが、今年に入り法律が変わり、輸入台数が減少しております。

ハイエースの需要は相変わらず旺盛で、需要はコンゴ民主共和国とほぼ同じです。走行距離が15万キロ以下のものがほとんどです。

モザンビーク

ここ最近、じわじわ輸入台数が増えてきている国です。ハイエースの需要については、型式、年式、距離に関し、これと言ったこだわりはなく、とにかく安いものが売れる傾向にあります。

海外では、ハイエースワゴンはあまり売れないですが、この国については、おそらくハイエースバンとワゴンの区別があいまい(区別がついていない?)ハイエースワゴンもちらほら出ているようです。

タンザニア

タンザニアは東アフリカにおける有数の日本車輸入国ですが、ハイエースバンの知名度はあまり高くないのが特徴です。ハイエースもそこそこ輸出されていますが、同じぐらいキャラバンも売れています。

よその国は”ハイエースでなければいけない”という思い込みがありますが、この国は”同じようなものなら、安い方がいい”という発想でキャラバンがそこそこ売れているのが現状です。

 

ハイエースバンの海外相場

それぞれに国で、同じハイエースバンでも型式等の需要には偏りがありました。また、国により予算も異なってきます。

例えば、ケニアに関しては、登録8年未満のものという厳しい年式規制により、古くて安いものが買えません。そのため、予算は C&F(船賃込価格)で 約US$10000となっています。

逆に言うと、US$10000よりも高くなるとほとんど売れなくなります。

また、ハイエース輸入大国であるコンゴ民衆共和国では、最も売れているRZH112モデルで、ATであれば、大体C&FでUS$5000ぐらい、MTでUS$7000ぐらいとなっています。もちろん走行距離等で上下はします。

日本の中古車市場においては、中古車の価格は新車時の販売価格が大きく影響をうけます。

そのため、ハイエースであれば、最上級グレードであるスーパーGLと最下級グレードのDXでは大きな価格差が生じるのが当然ですが、

海外の人(特にアフリカ)にとっては、スーパーGLもDXも区別がありません。それよりも、ATであるのかMTであるのか?エンジンの型式は何か?軽油かガソリンか?という区別の方が価格に対しはるかに大きな影響を与えます。

つまり、海外の需要の特徴が分からない国内業者が、オークションの相場をみても、どのように相場を絞り込めばいいのかわからないというのも無理が無いわけです。

買取の際、「足元を見るような値段を付けてやろう」なんて思っていない業者でも、「とりあえず、失敗しないように、リスクのない価格に抑えておこう」という発想になり、控えめの価格設定となります。

 結局国内の基準で言えば、「ボロボロだから廃車として扱おう」という発想にもなりかねません。「ハイエースの廃車という日本語は存在しません」と別の記事で書いておりますので是非参考にしてみて下さい。

また、とりあえず、「自分のハイエースにどれくらいの価値があるのかが分からない」という方は、

ハイエースの買取・下取り・査定ならボロボロエースカウカウ」をご覧ください。

本日のまとめ

えっこの車に35万円もの価値が!??という本日のテーマですが、この驚きは、ある意味、国内中古車業者の反応とも言えるでしょう。車を売る側のあなたも、「こんな古い車、自分だったらお金を出しても買わないな~」と思ってしまったら、中古車業者の思うツボです。ハイエースは完全に海外という全く価値観の違う世界向けの車ですからね。

”ハイエースバンを売るなら輸出業者”と色々なサイトで書かれています。輸出業者とて、オークションの相場より高く買う事はありません。オークションで買えるものをエンドユーザーから高く買う業者などいないでしょう。でも他の業者がリスクを恐れて、相当低い値段で買っているのを横目に、輸出業者が指をくわえて見ているわけには行きません。”知っている””欲しい”から高く買える、だから輸出業者に売る方がいい。こういう理屈なんですね。

ただ、輸出業者ならどこに売ってもいいという事でもありません。

通常、輸出業者は買取事業をやっていません。逆に言えば、エンドユーザーがどれくらいの値段で買取業者に売っているかも知らないわけです。当たり前ですが、プロはみんな少しでも安く仕入れたいと思っています。そんなとこで、いきなり、「ハイエースバンを売りたい」と言う人が向こうから現れると、逆に欲が出てしまうのが人間です。逆に普通の買取業者よりも安い値段を提示されても不思議ではありません。必ず、数社相見積もりを取ったうえで、希望金額を提示しましょう。