車下取り・買取時の消費税の取り扱いはどうなってるの?

税込・税別?どっち? 車買取業界の闇
記事監修者:
古物商:大阪府公安委員会第622030193808号
JAAI認定中古自動車査定士 査定士番号:0061753379
株式会社Direct Stock Japan 代表取締役 山本剛

車の下取りや買取で提示される査定金額には、消費税が含まれるのでしょうか?それとも含まれないのでしょうか?

 そもそも、売却するあなたで、お金を払うのは業者です。このような場合、そもそも消費税というものが発生するのかどうか?

  なんだか、よくある質問のようで、実際はだ~れも質問しないこのことについて、今日はあえて、記事にしていきたいと思います。

 なぜなら、車の査定時の消費税の仕組みを知る事で、業者から思わぬボーナスを引き出す事ができるかも知れないからです。

実際、消費税は含まれているの、含まれていないの?

 結論から言えば、あなたから見ると、下取りや買取で車を売っても消費税は発生しません。業者から受け取る事もありませんし、それを国に納める必要もありません。

 また、あなたが、提示された査定金額に対し、業者に別途消費税を請求する事も当然できません。

しかしながら、業者側から見ると、あなたの車を買って、あなたに支払うお金は、消費税を含んだ仕入れ経費として、経常する事ができます。

 しかし、買取の際の明細や、業者があなたに印をもらう領収書等にも、消費税は明記されません。明記する必要が無いからです。

 ??? 何だかよくわからないし、

そもそも、そんな事わかっても何の意味もない・・・

なんて、思わないでくださいね。

 これ、仕組みを良く知っているか、知らないかで、買取の交渉では大きく値段が変わってきますので。場合によっては、消費税分、つまり100万の車であれば、8万円分、あなたのクルマの査定額を上げることもできるかもしれません。

 まず、なぜ あなたと業者、それぞれの立場で消費税の取り扱い方が変わるのでしょうか?法的な根拠を確認してみたいと思います。

あなた(車を売る人)の立場における消費税の取り扱いについて

関連する、情報を国税庁ホームページで調べてみました。

 課税の対象という項目を読んでみると

1 国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等

(1) 事業者が事業として行う取引

 「事業者」とは、個人事業者(事業を行う個人)と法人をいいます。
 「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を繰り返し、継続、かつ、独立して行うことをいいます。
 したがって、個人の中古車販売業者が行う中古車の売買は事業として行う売買になりますが、給与所得者がたまたま自分の自家用車を手放す行為などは、事業として行う売買とはなりません。
 

 引用元:国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6105.htm

と書かれています。

 つまり、車の業者ではないあなたが、車を売る場合は、課税の対象とはなりません。そのため、車を売って受け取ったお金に対しての消費税を納税する義務はありません。し、

 当然、受け取る金額に消費税は含まれませんし、別途発生する事もありません。

業者側から見た消費税の取り扱い

一方業者側からすると、消費税の取り扱いはどうなるのか?

同じく国税庁のHPをしらべてみました。

No.6455 免税事業者や消費者から仕入れたとき

[平成27年4月1日現在法令等]

 免税事業者から仕入れた場合や事業者ではない消費者から仕入れた場合も、仕入税額控除の対象となります
 この免税事業者や消費者から仕入れた場合でも、その支払った対価の額は消費税及び地方消費税込みの金額とされますので、その対価の額の108分の6.3相当金額は消費税額として仕入税額控除を行うことができます

出典元: 国税庁HP http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6455.htm

このように、業者は消費者(車を売る人)から仕入れても、仕入れの経費として消費税も支払っているという扱いができるという事なのです。

 この双方の消費税の取り扱いを客観的な立場でみるとつまりこういう事なのです。

「あなたは消費税を受け取っていないのに、業者は消費税をあなたに支払った事になっている」 

つまりどういう事かと言うと・・・

では、少し話を分かりやすくするために、一つの取引例でシュミレーションしてみます。

仮に、あなたの車が業者の査定で 100万円だったとしましょう。

業者はあなたに100万円支払います。(あなたは100万円受け取ります。)

それを業者が、自分の店の展示車両として、100万円で売っていたとします。

 あなたから見ると「あの業者、頭おかしいんじゃないだろうか??」

と見えるかもしれません。

 

 しかしながら、これまでに説明した消費税の仕組みがわかれば、これが成り立つ事がわかりますね。

あなたが受け取った100万円は、あなたから見ると、消費税とは無関係のただの100万円です。

しかし、業者から見れば、その金額は消費税込み100万円なわけです。

 

 そして、もしその展示車両が売れた場合は、消費税が発生するので、業者は税込みで108万円うけとるわけです。

 つまり、手元には8万円の利益が残るわけです。

「えっ、それって消費税だから国に納税しないといけなんでしょ??」

 と思うかもしれません。

 

しかし、この場合、実際に国(や地方自治体)に支払う消費税はというと・・・・

108万円ー100万円=8万円 

80000×0.08=6400円 になるわけですね。

 結局、100万円のものを100万円で売っても、業者はきっちり、73600円の利益を得る事ができるわけです。

消費税のネタで交渉を優位にすすめよう!

 

さて、これを知ってあなたになんの得があるのかと言いますと・・・

 消費税の取り扱いを業者に質問する事で、交渉をかなり優位にすすめる事ができるのです。

 

 実はここに書いた消費税の取り扱いは、業者側も良く分かっていない事が多いです。

そのため、ほとんどの業者は、単純に、買取の金額には消費税が含まれていると考えています。

 

 ですから、消費税の取り扱いについてあなたから、質問されると若干説明が苦しくなります。

どうしても「元々それは消費税込みの金額です」という説明になってしまいます。

 

そのような説明に対し、下記のように返答して、交渉の主導権を握ります。

  • 税込みなら、なぜ税込みと言わなかったのか?こちらは税別で考えていた。
  • 多店舗では、消費税は含まれていないと言っていた。もう一度他店に確認をとる。
  • 税込みなら、納得がいかない。今日は売る事ができない。

 等々交渉において、こちらに即決ができない正当な理由が沸き上がってきます。

いずれにしても、相手が提示した金額に対し、”待った!”を掛ける事できます。

実際、車の買取というビジネスは、相手にその場での決断を迫るビジネスですから、待ったを掛けられると非常にやりにくくなります。それが政党な理由ならなおさらです。このような場合、価格面の譲歩をせざるを得なくなります。

 買取店からすれば、誤魔化そうとしていた部分が明るみに出るわけですからね。

うまくいけば、査定金額を消費税分まるまるアップさせる事も出来るかもしれません。

 

もし、きちんと勉強している買取店であれば、

 「お客様は消費者であるため、消費者が車を売るような場合に、消費税は課税されません。それはどの店舗で売ったとしても同じです。」

ときちんとした説明が可能ですが、そこまで理解している買取店はほとんどありません。

 自分達からみれば、あくまで課税控除の対象の金額ですからね。

まとめ

 消費税の取り扱いと、それを実際の売買で活かす方法をまとめておきます。

  1.  車の売買において、車を売る側は消費税が課税されない
  2.  車を買取する業者側は、経理上、税込み金額で買い取った事にできる。
  3.  業者自体がこのことをあまり、きちんと理解していません。
  4.  実際の下取り・買取の際に、業者に「消費税の取り扱いについて」質問しましょう。
  5.  相手がそれを良く理解できていない場合は、交渉を優位に進める事ができます。

 

以上で、本日の記事「車下取り・買取時の消費税の取り扱いはどうなってるの?」を終わります。